イジメ返し―新たな復讐―
そこにあるのは嫉妬だ。分かっていても止められない。

好きだから……。真紀のことが大切であるからこそ、今はわたしのきもちを分かってくれない真紀が憎たらしく感じた。

「なんか最近……色々あってクラスの中がメチャクチャだね。佐知子も……それに志穂ちゃんまで……。一体どうしちゃったんだろう」

「ねぇ、真紀。それ、全部わたしが仕組んだことだって言ったら?」

「え……?」

「あの二人がああなったの、わたしとエマちゃんのイジメ返しのせいなの」

「イジメ返し?どういうこと?」

「わたし、あの二人にイジメられてたから。だからあの二人に復讐してるの。イジメられた時の苦痛の倍……ううん、10倍、100倍にしてやり返すって決めたの」

「愛奈……?どうしちゃったの?」

真紀が困惑したように顔を歪める。

「次は、カスミちゃんの番。わたしはカスミちゃんを絶対に許さない」

小学校のときからずっと苦しめられてきた。長年の恨みを必ず晴らしてやる。

「だ、ダメだよ!イジメ返しなんて……!復讐したって愛奈にプラスになることなんて何もない。そんなことしたって泥沼にはまるだけだよ。抜け出せなくなって残るのは苦しみだけだよ?」

真紀のその言葉に今まで溜っていた真紀への不満が一気に噴き出した。

いつもそう。真紀はいつだって正義感をふりかざしてわたしを傷付ける。

わたしの気持ちなんて考えてくれない。

「真紀っていっつもそうだよね。正義感振りかざして、誰にでもいい顔してさ」

「愛奈……」

もう限界だった。溢れ出した感情はセーブできなくなっていた。

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