イジメ返し―新たな復讐―
右左右左。左右から飛んでくる平手打ちの嵐に顔が揺れる。
「クソ女。死ね」
カスミちゃんは低い声でそう呟くように言うと、強烈な蹴りわたしのみぞおちの辺りに打ち込んだ。
「いたっ……」
肋骨が折れてしまったんじゃないかと思うほどの強烈な痛みに息ができない。
あまりの痛みに顔を歪めてその場に膝をつくわたしのそばにカスミちゃんが吐いたツバが降ってくる。
幸いなことにそのツバはトイレの床のタイルに落ちた。
足元にはカスミちゃんの足がある。
「違うの……。誤解だよ……。お願い、カスミちゃん――」
痛みなのか焦りなのかわからない。
わたしの目からは大粒の涙が溢れる。
必死になってカスミちゃんの足にすがりつくと、カスミちゃんは有無を言わさずわたしの体を蹴り上げた。
「キモい。死ね」
カスミちゃんはそう言うと、わたしに背中を向けて歩き出す。
カスミちゃんがトイレから出て行きその場に残されたわたしは冷たいトイレのタイル張りの床の上に座り込み放心状態になった。
「なんでこんなことに……」
体のあちこちが痛む。
でも、それ以上に胸が張り裂けてしまいそうだった。
カスミちゃんの憎々し気な表情が蘇りわたしは頭を抱えた。
どうしよう。カスミちゃんを怒らせた……。怒らせてしまった……。
その事実に打ちひしがれる。