イジメ返し―新たな復讐―
そこそこカスミちゃんとも仲の良かったその子はきっと何らかのきっかけでカスミちゃんの機嫌を損ねてしまったに違いない。

カスミちゃんに逆らうことのできなかったクラスメイト達は【了解！】とか【オッケー！】とかカスミちゃんの機嫌を取るためだけにスタンプを送る。

結局、その子は一時期クラス中から無視されることになった。

きっと今回もそれと同じことがおこるはずだ。

ハァと息を吐いて乱れる呼吸を整える。

このままずっとこの場所にいるわけにはいかない。

勇気を出して扉にかけた手に力を込めると、「邪魔！」とすぐ後ろで聞き覚えのある刺々しい声がした。

それがカスミちゃんの声であると瞬時に悟り、全身の毛が逆立つ。

恐る恐る振り返ると、眉間にしわを寄せたカスミちゃんがわたしを睨み付けていた。

「あっ、お、おはよう。あの、カスミちゃん、昨日のことなんだけど――」

何とかして昨日の誤解を解こうとそう切り出すと、カスミちゃんはチラッとわたしを睨み付けた後無言のまま教室に足を踏み入れた。

「ちょっと、何？愛奈ってばカスミのこと怒らせちゃったの？」

志穂ちゃんがわたしにそっと耳打ちをする。

< 30 / 292 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop