イジメ返し―新たな復讐―

小学生の時、わたしはギリギリ2軍に位置していたような気がする。

でも、あの当時スクールカーストはあったものの、イジメというものは存在しなかった。

1軍の子達が3軍の子達を攻撃するようなことはなかったし、行事やイベントをするにしてもクラス全員で協力しようという目には見えない絆のようなものがあった気がする。

大なり小なりちょっとした悩みや不満はあったとは思うけれど、誰一人として不登校にならずみんなそれなりに学校生活を楽しんでいたはずだ。

そう。カスミちゃんがクラスを牛耳るまでは。

転校初日、カスミちゃんの席の周りを彼女に興味を持ったクラスメイト達が取り囲んであれこれ質問攻めにした。

『髪の毛、染めてるの?』『東京のどのあたりに住んでいたの?』『芸能人って見たことある?』

質問を浴びているカスミちゃんはその質問に答えることなく、輪の中の一人をジッと見つめた。

『アンタのヘアスタイル、マジでダサいんだけど』

吐き捨てるように言うと、口角をわずかに持ち上げて不敵な笑みを浮かべた。

『え……、わ、わたしのこと……?』

『アンタ以外で誰がいるわけ?前髪短すぎだし、後ろも変な切り方だし。ちゃんと美容院いってんの?』

カスミちゃんの言葉に教室中の空気が凍り付く。

でも、輪の中にいた一人……宮前志穂がにやりと笑った。

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