イジメ返し―新たな復讐―
『つーか、真紀と約束してんの忘れてたとか志穂最低なんだけど』

『カスミだってそうじゃん』

『てかさ、待ち合わせの時間過ぎたら普通帰らない?』

『だよね~』

『バカ正直って言うか……バカだね。ただのバカ』

『あはははは!カスミひっどー!』

『カスミちゃーん、てあの言い方とかマジキモいもん』

『分かる分かる!純粋っていうか……ただのバカだね!マジで天性のバカ』

二人の会話を学校で聞いたわたしは全てを把握した。

雪が降りしきる中、真紀はカスミちゃんと志穂ちゃんがやってくるのを神社で待ち続けていたらしい。

何時間も待ち続けて全身がかじかみ、指先やつま先の感覚だってなくなったことだろう。

それでも真紀はずっと二人を待ち続けた。そして、暗くなっても娘が家に帰ってこないことを心配した母親があたりを探してようやく神社の前に座り込んでいる真紀を見つけた。

真紀は低体温症に陥り、危ないところだったらしい。

真紀は1週間ほど入院した。

わたしは入院中、毎日自転車で1時間かけて病院にお見舞いに行った。

真紀はわたしが病室に顔を出すといつも嬉しそうな笑顔を浮かべた。

『愛奈、いつも来てくれてありがとう。お母さんだって仕事が忙しくて来られない日もあるのに。無理して毎日来なくて大丈夫だよ。愛奈が風邪ひいちゃったら大変だから』

真紀は行くたびに申し訳なさそうにそう繰り返した。
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