イジメ返し―新たな復讐―
『ねぇ真紀、もうカスミちゃんたちとは関わらないほうがいいよ。ねっ?』

入院中、そう言い聞かせるわたしに真紀は微笑んだ。

『大丈夫。二人とも約束を忘れちゃっただけだもん。あたしも約束とか忘れる事しょちゅうあるから』

真紀は二人を責めたりしなかった。それどころか、『手袋とか帽子とか、ちゃんとつけて防寒していなかったあたしが悪いんだよ。二人に迷惑かけちゃった』と自分を責めているような言葉を繰り返した。

違う!とわたしは心の中で叫んだ。

真紀は悪くない。悪いのはあの二人なの。あの二人はわざと真紀を困らせようとしてたの。

確信犯的に約束を破ったの。

でも、それを口にすることは出来なかった。

言えば真紀を否定することになるとおもったから。

明らかに二人が悪意を持って真紀を誘ったとどうして気付けないんだろう。

『それに、愛奈にも迷惑かけちゃってる。ごめんね』

真紀は何度もわたしに謝った。真紀が謝る必要なんてないのに。

退院後、学校に姿を見せた真紀は明らかに痩せてしまっていた。

そんな真紀の姿を見てもなおカスミちゃんは冷酷だった。

『大丈夫?』とねぎらいの言葉をかけようともせず、『アンタ、バカ?』と真紀をあざ笑った。
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