イジメ返し―新たな復讐―
心の中がどんよりと沈む。

そのとき、ふと気付いた。遅い。……遅すぎる。

トイレに行ったあと、二人がいくら待っても部屋に戻ってこない。

「マズい!」

わたしは弾かれたように立ち上がり、部屋を飛び出した。

「ひぃ……!!」

扉を開けた瞬間、ハッとした。目の前には二人の姿があった。

「なに、慌てて。どうしたの?」

「う、ううん。遅いからちょっと心配になっちゃって……」

不敵な笑みを浮かべるカスミちゃんに喉の奥がひゅっと詰まった。

「もしかして、アンタが慌てて探しに行こうとしてたのってこれ?」

すると、カスミちゃんはにやりと笑いながら先程キッチンの棚に隠したはずの紙袋を持ち上げた。

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