イジメ返し―新たな復讐―
標的
伊藤先生が入院してから一週間が経った。
いまだにあの時の出来事はわたしの心に深い傷を残している。
次は選択授業だ。
隣のクラスに移動して決められた席に座る。
嫌だな……。心の中で呟く。
選択授業の席はカスミちゃんの席から近いし、真紀もいない。
何事もなく終わればいいんだけど。
落ち着かない気持ちでぎゅっとスカートを両手で握り締める。
「ねぇ、これ見て?ウケない?」
そのとき、斜め前に座るカスミちゃんが近くの席の石原佐知子に声をかけた。
校内で1、2位を争うぐらいの巨漢でみんなにいじられるキャラ。
本人曰く多種のアレルギー持ちのようで、普段からマスクをしていることが多く素顔を見ることは少ないためどんな顔をしているのかよく覚えていない。
そんな佐知子には仲の良い友達が二人いる。
カスミちゃんがスクールカーストの1軍だとしたら、佐知子は2軍に位置するぐらいの子だった。佐知子がというよりかは佐知子と一緒にいる友達が、だ。
スマホの画面を覗き込んだあと、一瞬ギョッとした表情を浮かべた佐知子。