イジメ返し―新たな復讐―
その音は佐知子にとって天からの助けに思えただろう。

手の甲で涙を拭いホッとした表情を浮かべた佐知子にツカツカと歩み寄ると、カスミちゃんは冷たくこう言い放った。

「くそデブ。死ねよ」

カスミちゃんはドスのきいた声でそう呟き、佐知子の頬を右手で引っぱたくと、何事もなかったかのように席に戻っていった。

佐知子はさっきの安心した表情から一転して険しい表情を浮かべた後、わたしに視線を向けた。

眉間にしわを寄せてわたしを憎々し気に睨み付けると佐知子は確かに言った

「絶対に許さない」と。


授業が終わると、一目散にトイレへ駆け込み個室の便器に腰掛けた。

「どうしてわたしが責められなくちゃいけないの……？悪いのはカスミちゃんなのに」

佐知子の憎々し気な視線と怒りを含んだ声が今も頭に残っている。

佐知子に踊れと命じたのも、きつい言葉を投げかけたのも全部カスミちゃんなのにどうしてわたしが責められないといけないんだろう。

悶々とした感情が体中を支配していく。

そもそもカスミちゃんは一体どういうつもりなんだろう。

どうして佐知子にあんなことを強要したんだろう。カスミちゃんの意図がわからず困惑する。

でも、すぐにその理由が分かることになる――。

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