イジメ返し―新たな復讐―
「ねぇ、どういうつもり?」

教室に入るとすぐ佐知子の仲間たちがわたしのことを取り囲んだ。

「さっきあったこと佐知子に聞いたんだけど。自分だけ逃げる為に佐知子に嫌なこと押しつけるのってズルくない?」

「え……?」

佐知子はわたしを責める友達の後ろで満足げな表情を浮かべている。

「でも、あの場では……」

あれしか方法はなかった。わたしだってカスミちゃんを止めた。

佐知子の気持ちだって十二分にわかる。だって昨日わたしは同じようにあのダンスを踊らされたんだから。

「しょうがなかったとか言うんじゃないよね?それって責任逃れじゃん!最低!!」

「そういうんじゃないよ。でも、わたしは――」

「愛奈って、実は腹黒いよね。伊藤先生のことだってそう。先生に酷いこと言ったり……。今回だって佐知子がカスミちゃんにいじられてるの見ていい気味とか思ったんじゃないの?いつもカスミちゃんにやられてるのは愛奈だもんね?」

「ち、違うよ!」

「あたし達、別の小中学校だけど知ってるんだから。愛奈が小学校の時からカスミちゃんにイジメられてたの。もうイジメられたくないって思ってる?だから、佐知子のことおとりにしたんでしょ佐知子がいじられたりしてんの見て、自分は大丈夫だって安心してた。そうでしょ?」

違う!!と大声で叫びたかったけれど、確かにその通りだとも思った。

わたしはカスミちゃんからイジメられることを恐れている。
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