イジメ返し―新たな復讐―

カスミちゃんが他の誰かをイジメたり、悪意を持っていじったりしているのを見るのも嫌だ。

でも、心の中では正直ほっとしていた。

その間だけは、カスミちゃんのターゲットから逃れることができるから。

カスミちゃんからイジメられないから。

「黙ってるっていうことはそういうこと?アンタってマジ最低!!佐知子のこと次傷付けたらアンタのこと絶対許さないから!!」

佐知子の友達はそう言うと、佐知子をかばうようにわたしから離れていった。

教室の入り口にポツンと立ちつくすわたしのことを他のクラスメイト達が見つめている。

何かもめごとが起こり、わたしが責められていることをみんな理解しただろう。

わたしよりもスクールカーストの低かった子達が目を見合わせてコソコソとわたしの話を始める。

針のむしろだ。わたしは自分の席に座り、周りの視線や音から逃れるように机に伏せて耳にイヤホンをつけた。

カスミちゃんの狙いがなんとなくわかった気がする。

カスミちゃんは自分でわたしをイジメるだけでは飽き足らず、クラス中を仲間にして……ううん、クラス中の子たちにわたしをイジメるように仕向けさせた。

佐知子のことを無理やり踊らせようとしたのだってきっとそう。

佐知子も佐知子の友達もカスミちゃんのことを恐れているし、カスミちゃんに直接刃向かうことはありえない。

その怒りの矛先がわたしに向くことをカスミちゃんは予想していたに違いない。
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