きみと秘密を作る夜
春霞
新緑の葉が風に舞う、春。
「おはよう、リナ」
「あ、おはよう、あさひ。今日は珍しく早いね」
あさひは高校に入って仲よくなった友達だ。
入学した当初、私はもう二度と誰とも仲よくならないと心に決めていたが、しかし前の席にいた人懐っこいギャルは、なぜか私を気に入り、しつこく一方的に喋り続けてきた。
それがあさひだった。
「最近、夜遊びしすぎてさすがに疲れてたから、昨日は真っ直ぐ家帰ったの。したら、そのまま寝ちゃって、今朝は5時に目が覚めたんだよ。すごくない?」
「それ絶対、お昼に眠くなるパターンでしょ」
「かもね。でも今朝すっごい寝覚めよくて気分最高だったからいいの」
何がいいのかはわからないけれど。
あさひは、いつも明るくて元気で、悩みなんてひとつもなさそうな顔で笑っている。
だからどうにも憎めないのだろう。
あさひは、私が過去に失ったものみたいに、いつも眩しいから。