きみと秘密を作る夜
遼はすぐに私の番号にコールする。

スマホに、遼の名前が登録された。


晴人とですら、なかったこと。



「今度一緒に映画観に行こうよ」

「何それ」

「一応、デートのお誘い?」


デートねぇ。

どうしたものかという感じだけれど。



「そういう目的なら興味ないんだけど」

「んー? まぁ、最初に会った時からリナのこと可愛いって思ってたけど、今日ちゃんと喋ってみて、すっごい楽しかったし。こんなに話が合うやつ男でも女でもいなかったから、また会いたいとか遊びたいとか思うの、普通じゃね?」


口説かれているのか、何なのか。

こういう時の対処法がわからず、私は曖昧な顔しかできない。


遼はまた無邪気な顔で笑う。



「とにかくさ、そんなあからさまに警戒しなくていいから。取って食ったりしないし。楽しくやろうよ。な?」


まぁ、確かにあさひの友達でもあるし、変なことはされないだろうけど。



「わかったよ。じゃあ、まぁ、暇だったらね」

「おー。期待しとく」


歯を見せて笑った遼は、「じゃあな」と私に言って、きびすを返した。

ホームの方から私が乗る電車の到着を知らせるアナウンスが流れてきて、肩をすくめる。


どうしたものかなと思いながらも、私は駅構内へと今度こそきびすを返した。

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