きみと秘密を作る夜


映画が終わり、予想以上の濃い内容に興奮しきりの私たちは、そこからカフェになだれ込み、ああでもない、こうでもないと、感想を言い合った。



「CGすごかったよね。大迫力」

「うん。でも俺としては、リナの顔の方がおもしろかったな」

「え?」

「だって、びっくりしたり、悲しんだり、笑ったり、怖がったり、めちゃくちゃ百面相なんだもん。映画よりおもしろかったよ」


茶化され、顔が赤くなる。

私は真剣に映画を観ていたのに、なのに遼はそんな私を見ていたなんて。



「もう! 私二度と遼とは映画観ないから!」


怒る私を、また遼は笑う。



「そんなん言うなって。この夏はまだまだ話題作は目白押しなんだから。な?」


何だか遼のペースに乗せられているなと思う。

肩をすくめながら、私は、残りのカフェラテを流し込んだ。

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