きみと秘密を作る夜
夕方ということもあり、繁華街は行き交う人々でごった返していた。
駅までの道のりを、今日も遼は送ってくれた。
「なぁ、今度、俺らの地元で祭りあるんだけど、あさひも誘って3人で行かない? 結構、規模がでかくて、有名人もくるんだよ」
「へぇ。すごいね」
などと、話している時だった。
「遼?」
と、呼ぶ声がして、顔を向ける。
そこにはチャラそうな男のグループが。
「うわっ、お前ら、何やってんだよ」
「そっちこそ。デートか?」
にやにやにやにや。
集団に囲まれて、思わず後ずさる私。
遼はそんな私に気付いてはっとしたように、「こいつら、同じ学校のやつらだよ」と言うけれど。
「あー!」
集団のうちのひとりが、突然、私を指差し声を上げた。
「もしかして、この子が遼が前から狙ってるって言ってた子?」
「ちょっ、おい」
遼は慌てるが、しかし集団は盛り上がる。
「何だっけ? リサちゃん? じゃなくて、リナちゃん?」
「そうそう。夏休み前にめちゃくちゃ可愛いとか騒いでたもんな」
「え? もう付き合ってんの? 聞いてねぇよ。いつの間にだよ?」
ゲラゲラと笑う集団。
遼は気まずそうな顔で私を一瞥し、「行こう」とだけ。