きみと秘密を作る夜
お盆が明けたある日、遼に呼び出された。
土手沿いのグラウンドでは、少年たちが白球を追い掛けていた。
「あっちぃな」
「ほんとだよ。どうしたの? 急に。こんな場所で」
座っている遼の隣に腰を下ろす。
夕方とはいえ、遮るもののない西日の眩しさと、むせ返るような熱気に、汗が滴る。
カキン、と、バットに当たったボールが飛ぶ。
「そういえば、遼って昔、野球やってたんだったよね。どうして辞めちゃったの? 今はもうやんないの?」
しかし遼は、それには答えない。
「リナ」
「ん?」
「もうわかってると思うけど、好きなんだ。ちゃんと付き合ってほしい」
遼からの告白。
突然だったけど、でも、心のどこかでいつかは言われる気がしていた。
晴人の顔が、脳裏をよぎる。