きみと秘密を作る夜


それからどれだけの時間が経った頃か、



「あった!」


と、いう声と共に、やっとこちらを向いた遼は、額に大粒の汗の玉が。

そして土に汚れた手には、何かを握っていた。


立ち上がった遼は、私の手に、そっとそれを握らせる。



「これって……」


よつばのクローバー。



「知ってる? クローバーは『希望』、『信仰』、『愛情』。それから最後の1枚は、『幸福』のシンボルなんだって」

「『幸福』の……」

「よつばはね、成長点が傷付けられたためにできた奇形なんだって。みつばが傷付かなきゃ、よつばにはなれない。それってつまり、傷付いた人だけが幸せになれるってことだろ?」


傷付いた人だけが、幸せになれる。

驚いて顔を上げた私に、遼は優しく笑った。



「普段は気付かないだけで、リナの幸せはちゃんと近くにあるんだよ。探せば、絶対に見つけられる。俺が見つけるから」


手の中にあるよつばを、私は両手で優しく包んだ。

壊さないように、なくさないように、大切に。
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