きみと秘密を作る夜
遼の家は、郊外にあるマンションだった。
「入って」
そのまま、奥に通される。
遼の部屋は、わりと乱雑で、本棚にはぎっしりと漫画本が詰め込まれていた。
これぞまさに、男の部屋という感じ。
「汚くてごめんね」
遼は、言いながら、くる途中に買ってきたジュースのペットボトルを床に並べて置いた。
テーブルはなく、勉強机は物置状態なので、仕方がない。
私は、今からここで抱かれるのだなと、どこか冷めた気持ちで思ってしまう。
「あ、アルバムだぁ。見てもいい?」
「いいけど、そんなおもしろいもんじゃないと思うよ」
本棚に、漫画本と一緒に押し込まれていた、遼の、中学の時の卒業アルバム。
一枚、一枚、ページをめくる私の後ろから、遼も覗き込んできた。
「これ、あさひ」
「ほんとだぁ。黒髪だから、気付かなかった。今よりちょっと幼くて可愛いね」
「俺としては、昔のがいいと思うんだけどなぁ」
知らない学校の、知らない子たち。