きみと秘密を作る夜
「リナは? 中学の時、どんなだった?」


中学の時。

こっちにきてからの思い出は、すべて晴人とのものしかない。


今さら、思い出したくもないのに。



「どうだっていいじゃん、私の過去のことなんて」

「あ、……うん」


少しの沈黙の後、遼は言った。



「そうだよな。俺は、今のリナと出会って、今のリナを好きになったんだもんな」


顔を向けると、目が合って、ふっと笑った遼に、キスをされた。

冷房が効きすぎている所為か、手の先から冷たくなっていくのを感じる。



「好きだよ、リナ」


アルバムを取り上げられ、代わりにベッドに倒された。

「私もだよ」と、言った声は、かすれていた。
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