きみと秘密を作る夜

困惑



新学期。


また慌ただしい日々が戻ってきた。

遼とも、「俺んち行こうか」という誘いを、私が何度か交わすこと以外は、付き合いは順調そのものだった。



「じゃあ、あみだくじの結果、美化委員は小泉な」


帰りのホームルームでの先生の言葉に、私は思わずコケそうになる。



「ってことで、今日これから委員会あるから、よろしく頼むぞ」

「えっ、ちょっ」

「異論は認めない。以上」


言い捨てて去って行く先生。

あさひはゲラゲラと笑いながら、「どんまい」と声を掛けてくる。



「リナってほんとクジ運ないよねぇ。席替えの時でも前の方ばっか引き当てるし」

「ねぇ、美化委員って何? 変わってよ」

「やだよ、そんな面倒なもん私だってやりたくないし。じゃあ、頑張ってー」


薄情なあさひは、バッグを手に、早々にひとり帰ってしまった。

私は大きなため息と共に肩を落とし、仕方がなく委員会に向かうことにした。

< 151 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop