きみと秘密を作る夜
あれ以来、あさひの生活は荒れていた。
それでも、好きだった人に裏切られた辛さはよくわかるし、何より傷を負った今のあさひを放っておくことができない私は、なるべくそのワガママにも付き合うようにしていた。
「ちょっと、遼ぉ。あんた私の前でリナとイチャついてんじゃないわよぉ」
待ち合わせた遼にも、絡み始める始末。
私は後ろで謝罪のポーズを向けた。
遼は苦笑いだ。
「お前、話には聞いてたけど、顔やばくね?」
「どうせ私はリナと違ってブスですよ。あんたのカノジョは可愛くていいですねぇ。誰のおかげで付き合えたと思ってんの。私に感謝しなさいよ」
「うわー、うざいわー」
遼は早々にギブアップしたのか、小声で私に「いつもこうなの?」と聞いてくる。
が、あさひが睨んでくるため、曖昧な顔しかできない。
あさひの形相で、遼もさすがに事態の深刻さがわかったらしく、少し腕を組んで何かを考えたあと、言った。
「よし、わかった。もう今日は俺が奢るから、飲みに行こう。な?」
「ちょっ、遼!?」
さすがに驚く。
いくら何でも、私たちは高校生だ。
田舎の酒屋で顔見知りのおじさんを騙してお酒を買うのとはわけが違う。
しかし、遼は「大丈夫、大丈夫」と、軽く言った。