きみと秘密を作る夜


あさひは上機嫌でお酒を飲み進みている。

酔っ払っているのか、遼まで一緒になって騒いでいた。


あれからどれくらい経っただろうか。



いい加減、私は帰りたくなったのだが、そんな時だった。



「あれ? ハル?」


顔を向けると、そこには晴人が。

晴人は私たちを見て、ひどく驚いた顔をする。



「おい、遼。お前、こんなとこで何やってんだよ」

「んあ? カノジョと友達と飲んでんのぉ。見りゃわかんじゃん? あ、ハルも混ざれよ」

「ふざけんなよ。こんな店に女連れてきてんじゃねぇよ」

「はぁ? 自分だって連れてきたことあったろ。何キレてんだよ? カノジョと別れたからってひがむなよ」


なぜか怒っている晴人と、へらへらしている遼。

晴人は話にならないと思ったのか、舌打ちひとつで向こうに行ってしまった。


思わずほっと安堵した私だが、横であさひは甘い声を出した。



「やーん、さっきのって遼の友達ぃ? 何かちょっと怖いけどかっこいい感じぃ」


何を言っているんだと思った。

遼も、さすがにそれは首を振った。



「ハルはなぁ。友達としてはいいやつだけど、男としてはなぁ。女なんかとっかえひっかえだし。別に浮気してるわけじゃないけど、付き合ってもすぐ別れるんだよ。多分、誰にも本気にならないんじゃないかな。とにかくあいつだけはやめといた方がいいよ、マジで」


海でデートしていた子とも、別れてしまったのか。

そういえば、中学時代、矢野 美姫ともすぐに別れたんだっけ。


私には関係ないとはいえ、晴人は何がしたいのか。

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