きみと秘密を作る夜
時間はどんどん過ぎていく。
それに比例するように、あさひはどんどん酔っ払っていく。
遼が向こうの席に行き、誰かと談笑している隙を見計らい、私はあさひからグラスを取り上げた。
「ねぇ、ほんともう帰ろうよ」
「大丈夫だってばぁ」
舌足らずに言ったあさひは、「トイレ」と、席を立つ。
が、言葉と同様に、足元もおぼつかない。
「ちょっと、全然大丈夫じゃないじゃん」
ため息混じりの私は、仕方がなくその体を支えることに。
何で私は、こんなことまでやってるのか。
「ほら、ちゃんと歩いてよ」
「歩いてるよぉ」
ふらつくあさひを支えながら、どうにかトイレの前まできた時。
「あれ? 酔ってんのぉ?」
後ろからの声に振り向くと、見たことのない金髪が。
暗がりな中、にやついた顔で近付いてこられ、思わず私は足を引いたのだが。
「大丈夫ぅ? 女の子ひとりで介抱すんの、大変だろぉ? 俺も手伝おっか?」
「いえ、結構です」
「あ、警戒しなくていいって。俺、店長の知り合いだし。代わりにその子、休めるところまで運んであげるよぉ?」
にやにやにやにや。
お酒臭い息がかかりそうなほどの距離。
あさひはすっかり酔いがまわったのか、ふにゃふにゃしていて、逃げるどころじゃない。