きみと秘密を作る夜
あさひの涙声が響いた時だった。
「おい!」
別の男の声に、私たちは同時に振り向く。
晴人だった。
晴人は状況を見て取った瞬間にすべてを理解したらしく、私の腕を掴む男の手を掴んだ。
「おい、そいつから手離せよ」
それでもなお、男はにやにやしたまま。
「何だよ、ハルかよ。お前も混ざりてぇの?」
「ふざけんなよ。殺すぞ」
晴人は男の胸倉を掴み上げた。
驚いた男も、「痛ぇな、こらぁ!」と、晴人に掴みかかる。
揉み合いの中で、トイレの前に置かれた観葉植物が倒れたと同時に、「きゃあ!」とあさひの悲鳴が響いた。
「どうした?」
「何かあった?」
声を聞きつけてふたりが駆けつけた瞬間、晴人に胸倉を掴まれていた男は、急に青ざめ、動きを止めた。
駆けつけたふたりのうちのひとりは、パンクみたいな店長だった。
店長も、先ほどの晴人同様、この状況を見て取り、すぐにすべてを察したらしい。
「これは何の騒ぎだ? あぁ?」
「いや、あの……」
「てめぇ、まさかまた、女さらおうとしたんじゃねぇよなぁ? 次にうちで同じことしたら命ねぇって言ったよな?」
すごんだと同時に、店長の蹴りが男の腹部を捕らえる。
元々、酔っていたからか、それとも急所に入ったからか、一撃で男はくぐもった声を上げながら、うずくまった。
喧嘩なんか初めて見た私とあさひは縮み上がったが、
「悪かったね」
とだけ、店長は言い、ふたりががりで男を引きづっていく。
「おい!」
別の男の声に、私たちは同時に振り向く。
晴人だった。
晴人は状況を見て取った瞬間にすべてを理解したらしく、私の腕を掴む男の手を掴んだ。
「おい、そいつから手離せよ」
それでもなお、男はにやにやしたまま。
「何だよ、ハルかよ。お前も混ざりてぇの?」
「ふざけんなよ。殺すぞ」
晴人は男の胸倉を掴み上げた。
驚いた男も、「痛ぇな、こらぁ!」と、晴人に掴みかかる。
揉み合いの中で、トイレの前に置かれた観葉植物が倒れたと同時に、「きゃあ!」とあさひの悲鳴が響いた。
「どうした?」
「何かあった?」
声を聞きつけてふたりが駆けつけた瞬間、晴人に胸倉を掴まれていた男は、急に青ざめ、動きを止めた。
駆けつけたふたりのうちのひとりは、パンクみたいな店長だった。
店長も、先ほどの晴人同様、この状況を見て取り、すぐにすべてを察したらしい。
「これは何の騒ぎだ? あぁ?」
「いや、あの……」
「てめぇ、まさかまた、女さらおうとしたんじゃねぇよなぁ? 次にうちで同じことしたら命ねぇって言ったよな?」
すごんだと同時に、店長の蹴りが男の腹部を捕らえる。
元々、酔っていたからか、それとも急所に入ったからか、一撃で男はくぐもった声を上げながら、うずくまった。
喧嘩なんか初めて見た私とあさひは縮み上がったが、
「悪かったね」
とだけ、店長は言い、ふたりががりで男を引きづっていく。