きみと秘密を作る夜
前を向けば、こうして輝く世界が広がっているのだ。

だったら足元ばかり見ている方がもったいない。


隣の晴人はふっと笑った。



「お前はさぁ、いきなり俺の前に現れて、好き勝手に突拍子もないことばっか言って、人のこと振りまわしてさ。最初はうぜぇと思ってたけど、でも何か、一緒にいると退屈しねぇもんな」


晴人の笑った顔を、初めて見た。



「私を変なやつみたいに言わないでよ」

「いや、かなり変だろ」

「ちょっと!」


怒って顔を向けると、不意に目が合った。


晴人の肩越しに、町の景色が広がっている。

キラキラしてる。



目が合ったまま、どちらからともなく笑ってしまった。



「綺麗だね」

「誰にも言うなよ?」

「言わないよ。言ったらもったいないじゃん」


そしてまた、ふたりで笑う。


景色がこんなにも輝いて見えるのは、隣に晴人がいるからだろうか。

私と晴人は、そこでずっと、風を感じながら町を見下ろしていた。

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