きみと秘密を作る夜
「お前、やっぱりバカだよ」


私は、震えていたのだと思う。

だけど、私以上に晴人の声の方が震えていた。



「わかんねぇのかよ。お前のばあちゃんは、何があったってお前を責めないよ。だってお前のこと、目の中に入れても痛くないと思うほど可愛がってただろ? ばあちゃんは、お前のことが大好きだったんだ。だからきっと、笑って許してくれるよ」


あぁ、そうだ。

おばあちゃんは、きっとあんなことでは怒らない。


晴人の言葉が、すうっと心に沁みていくのがわかる。



「つーか、ばあちゃんの方が、お前と一緒にドーナツ食べたかったのにって、後悔してるはずだよ。生きたくても生きられなくて、きっと辛かったと思う」


どうしてだろう。

どうして晴人は。



「我慢すんなよ。ちゃんと泣け。今なら誰も見てないから」


晴人があまりにも優しくて、そしてその胸があまりにもあたたかくて、気付けば私は、子供みたいにわんわんと、声を上げて泣いていた。


こんな泣き方をしたのは初めてだったかもしれない。

晴人はただ静かに、私の背中をさすり続けてくれていた。

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