きみと秘密を作る夜
「まぁ、確かに、初めてお前を見た時には、こんなド田舎に似つかわしくないやつがいるなと思ったよ。それが、ばあちゃんが言ってた孫だって知った時には、すっげぇびっくりした」
「なっ」
「顔は可愛いよ。天使な。それは認める。でもお前、性格がなぁ。ひねくれまくりだよ。逆にびっくりしたっつーか」
「って、ちょっと! 途中から悪口じゃん!」
思わず声を上げてしまうと、私の反応を見た晴人は、ぶはっと吹き出したように笑った。
何だかバカらしくなって、私も力が抜けたように笑ってしまう。
「ありがとね、晴人」
私の言葉に、晴人はうなづいて、立ち上がった。
「帰るの?」
「おー」
「ほんとにおばあちゃんに会っていかなくていいの?」
「いいんだよ」
風が吹く。
私と晴人の間を冷やす、風が。
「俺の分まで、ばあちゃんによろしく」
「うん」
「じゃあな、里菜子」
去って行く晴人の背中を見るのは、もう何度目か。
私じゃない人を選んだ人。
もう二度と関わらないと、事あるごとに誓ったはずだったのに。
なのに、どうして晴人はいつも私に、中途半端な優しさばかりかけるのか。
「なっ」
「顔は可愛いよ。天使な。それは認める。でもお前、性格がなぁ。ひねくれまくりだよ。逆にびっくりしたっつーか」
「って、ちょっと! 途中から悪口じゃん!」
思わず声を上げてしまうと、私の反応を見た晴人は、ぶはっと吹き出したように笑った。
何だかバカらしくなって、私も力が抜けたように笑ってしまう。
「ありがとね、晴人」
私の言葉に、晴人はうなづいて、立ち上がった。
「帰るの?」
「おー」
「ほんとにおばあちゃんに会っていかなくていいの?」
「いいんだよ」
風が吹く。
私と晴人の間を冷やす、風が。
「俺の分まで、ばあちゃんによろしく」
「うん」
「じゃあな、里菜子」
去って行く晴人の背中を見るのは、もう何度目か。
私じゃない人を選んだ人。
もう二度と関わらないと、事あるごとに誓ったはずだったのに。
なのに、どうして晴人はいつも私に、中途半端な優しさばかりかけるのか。