きみと秘密を作る夜
クラスメイトたちとは仲よくなれたが、さすがに疲れた。
帰宅して、宿題まで完璧に終えたら、着替える気力も残っておらず、倒れ込むようにベッドにダイブする。
明日も、明後日も、これが続くかもしれないと思うと、軽い恐怖すら感じる。
目を閉じ掛けた時、カツン、カツン、と、窓に何かが当たる音が聞こえ、私は眉をひそめて体を起こした。
音に導かれるように窓辺に立つと、窓越しの晴人が、こちらに何かを投げてきていた。
「ちょっと、何やってんのよぉ」
窓を開けて、文句を言う私。
晴人はそんなの気にもしないで、
「なぁ、宿題やった?」
と、聞いてきた。
「やったけど」
「見せろ」
「えー? 自分でやりなよ」
「夏休み中、世話してやったんだから、俺に恩返ししようとか思わねぇ?」
言った瞬間、晴人はノート片手に、窓の桟(さん)に足を掛けた。
「どいてろ」
「えっ、ちょっ、何やってっ」
驚く間もなく、晴人はひょいとこちらの窓に飛び移ってきた。
あんぐりと口を開ける私。
涼しい顔で私の部屋に立つ晴人を見る。
「あっ、危ないじゃん! うちにくるにしたって、普通は玄関から」
「こっちのが早いし」
「ありえない」