きみと秘密を作る夜
「『赤ちゃんができたのよ』って、突然、母さんが」
元々、病気で子供ができにくかった晴人の母は、晴人を妊娠したことだけでも奇跡的だったらしい。
その後に不妊治療をしてもふたり目はできなかったが、それでも晴人がいるからいいのだと言い聞かせて、諦めていた。
が、12歳下の弟か妹ができると知り、家族はもちろんのこと、誰より晴人が喜んだ。
「『試合の応援はこなくていいからね』、『重いものは俺が持つよ』、『母さん、そんな格好じゃ風邪引くよ』、『無理しないで休んでなよ』って、俺はいつも母さんの心配ばっかりしててさ」
晴人は常に身重の母親を気遣い、腹の子を我が子のように慈しんだ。
そして家族に愛され、心待ちにされた子は、10ヵ月後、無事にこの世に誕生した。
「男の子だった。名前は『星矢(せいや)』。どうしても、俺が『星』っていう字を入れたいって駄々こねて」
玉のように可愛い星矢くん。
晴人は、産後で大変な母親や、仕事で忙しい父親に代わり、おむつ替えや風呂の世話など、立派に兄として頑張った。
「俺はさ、多分、半分は星矢の父親みたいな気持ちもあったんだと思う。このちびっこい弟を守れるのは俺だけだ、みたいな? 使命感っつーのかな。あいつほんとふにゃふにゃしてて可愛くて、ずっと見てても全然苦じゃなかったし」
元々、病気で子供ができにくかった晴人の母は、晴人を妊娠したことだけでも奇跡的だったらしい。
その後に不妊治療をしてもふたり目はできなかったが、それでも晴人がいるからいいのだと言い聞かせて、諦めていた。
が、12歳下の弟か妹ができると知り、家族はもちろんのこと、誰より晴人が喜んだ。
「『試合の応援はこなくていいからね』、『重いものは俺が持つよ』、『母さん、そんな格好じゃ風邪引くよ』、『無理しないで休んでなよ』って、俺はいつも母さんの心配ばっかりしててさ」
晴人は常に身重の母親を気遣い、腹の子を我が子のように慈しんだ。
そして家族に愛され、心待ちにされた子は、10ヵ月後、無事にこの世に誕生した。
「男の子だった。名前は『星矢(せいや)』。どうしても、俺が『星』っていう字を入れたいって駄々こねて」
玉のように可愛い星矢くん。
晴人は、産後で大変な母親や、仕事で忙しい父親に代わり、おむつ替えや風呂の世話など、立派に兄として頑張った。
「俺はさ、多分、半分は星矢の父親みたいな気持ちもあったんだと思う。このちびっこい弟を守れるのは俺だけだ、みたいな? 使命感っつーのかな。あいつほんとふにゃふにゃしてて可愛くて、ずっと見てても全然苦じゃなかったし」