きみと秘密を作る夜


秋の深まる中、学校では、文化祭の準備が始まった。

うちのクラスはお化け屋敷をするらしい。


みんなで協力して、看板なんかを作成していく。



「やっぱりさぁ、文化祭で好きな人とまわるの、夢だよねぇ」

「えー? みっちゃん、好きな人いるの?」

「でもその前に告白が先だよ」

「振られたりしてねー」

「あ、知ってる? 2組の石田と宮本、付き合ってるらしいよ」


作業そっちのけで、恋バナ全開。

こういうのは、どこでも一緒だと思う。



「リナはさぁ、前の学校でカレシいたりした?」

「いるわけないじゃん。それに私、あんまりそういうのに興味ないし」

「あ、同い年の男は子供っぽく見えるってやつ? リナ、大人っぽいもんねぇ」

「いや、別にそういうことじゃないんだけど」


何だか変に勘違いされている気がするが。



そもそも私は、他人に対して、あまり興味を持てないでいる。

普通に生活していたいから女友達との関係はそれなりに気を配ってはいるが、所詮はそれだけだ。


顔がかっこいいからとか、スポーツができるからとか、そういうことですぐに誰かを好きになれる人が、むしろ羨ましいとすら思う。



「私ね、実は、村上くんのこと好きなんだぁ」

「うっそ! マジで? 協力するよ、ゆっこ!」


それもいいけど、早く看板仕上げようよ。

とは、この状況では言えないなぁ。


まぁ、いいけどさ。
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