きみと秘密を作る夜
私と、晴人?

どくんと鼓動が大きく鳴った。



「……何、言って……」


戸惑う私の肩を掴み、遼は唇を噛み締める。



「先週、仲間内で集まってたら、先輩がカノジョを連れてきたんだ。麻衣って子だよ。知ってるだろ?」


麻衣ちゃん。

忘れもしない、晴人に片思いしていた子。


私は、勇気を出した麻衣ちゃんの想いを、ゴミ箱に捨てたのだ。



「たまたま俺のカノジョの話になって、リナの写メ見せたら、驚いてたよ。『同級生だった』って。『陰で男を誘うのが得意な子だから気を付けた方がいいよ』って言われたんだ」

「………」

「『中学の頃もね、桜木 晴人ってやつと、山の中でイケナイことして大問題になって、みんなからハブられてたんだから』って」


すっと熱が引くのがわかった。

対照的に、遼の目は血走っている。



「なぁ、どういうことだよ!? リナとハルは同級生!? しかも中学の頃に何かあった関係だった!? 意味がわからないだろ! いきなりそんなこと言われた俺の身にもなれよ! 頼むから説明してくれ!」


遼に強く肩を揺すられる。

でも、私が今この状況で、何を言えばいい?


もう嘘をつかない方がいいのはわかるが、しかしバカ正直に真実なんて言えるわけもない。
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