きみと秘密を作る夜


遼のマンションとあさひの家は、わりと近所だ。

電話した後、飛んできてくれたあさひに手を引かれ、そのまま家に連れて行かれた。



「ひっどい顔だね。でも、リナも泣いたりすることあるんだね。びっくりしたけど、やっとちゃんと素顔が見られたって感じ?」


私は今、どんな顔をしているだろう。

ティッシュを差し出しながら、あさひは言った。



「あの時とは逆だね」


前は、あさひがカレシに騙されていたと発覚して、私が慰めたのだ。



「最近、リナも遼も、様子が変だとは思ってたけど、まさか別れるなんて」

「……ごめん」

「何があったのか、ちゃんと話してくれるよね?」


私は、あさひに謝罪し、懺悔するためにここにきたのだから。

息を吐いて呼吸を整え、私は今までのことすべてを、今度こそ包み隠さず正直に話した。

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