きみと秘密を作る夜
晴人との出会い。
ふたりで過ごした時間と、あの日の出来事。
遼のことはちゃんと好きだったけど、でも晴人の過去を聞いてしまったことで、蓋をしていたはずの自分の感情が溢れてきて、苦しかったこと。
「遼が可哀想だよ」
「わかってるよ」
「ふたりのことはふたりにしかわからないとはいえ、昔の遼は、楽天的で、毎日楽しそうにしてたのに、リナと付き合ってから、すっかり女々しくて嫉妬深くなったもんね」
「そうかもしれない」
「『晴人』とはどうするの?」
「さぁ?」
「好きなんじゃないの?」
「遼と別れたばっかで、今は何も考えらんないよ」
目を伏せる私を、あさひは責めなかったが、しかし慰めたりもしなかった。
あさひは、私と友達である前に、遼とも友達なのだ。
だから、どちらの肩を持つわけでもなく、きちんと中立なところが、あさひらしさだと思う。
「まぁ、でも、遼のこと傷つけて別れたんだから、次はもう中途半端なことはできないからね?」
あさひの言葉に、私は強くうなづいた。