きみと秘密を作る夜
「リナ、絶対おもしろがってるでしょ」


あさひは真っ赤な顔で口を尖らせ、そして言う。



「ねぇ、ほんとは怒ってるんじゃないの?」


本当に、しつこい。

私は肩をすくめ、きちんとあさひに向き直る。



「あのさ、私はあさひのこと大事な友達だと思ってるよ? もちろん遼のことだってそう。だから、そんな大事なふたりが付き合い始めたの、すごく嬉しい」

「………」

「確かに今までのことは消えなくて、それでお互いが不安になったりすることもあるかもだけど、でも私は、本心からふたりが幸せになってくれることを願ってるよ」


私の言葉に、あさひは大粒の涙をこぼし始めた。

駅のど真ん中で、往来の目が無数に向けられ、恥ずかしくもなるけれど。



「リナ、ありがとう。私たち、一生友達だからね」


結局、また抱き付かれ、私はもう笑うしかなかった。

遼は少し困った顔をしながらも、「まさかリナに応援されるとは思わなかったけど」と言う。



「なぁ、リナ。ハルとはあれからどうなった?」


晴人とのこと。

海でのあの日以来、一度も顔を合わせていない。



「あさひから、ふたりの今までのこと全部聞いたよ」
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