きみと秘密を作る夜
え?

今、なんて言った?


我が耳を疑い、慌てて別のチャンネルのニュースに替えると、タイムリーにそれを中継しているレポーターが。



「……先ほどもお話ししました通り、この時期の流星群は非常に珍しく、見られる地域もごく僅かということで、ごらんの通り、こちらには天文ファンが望遠鏡を手に集まってきていますので、お話を聞かせていただこうと……」


今日、流星群が見られる?

まるで何かに背中を突き動かされたみたいに、私は考えるより早くに足を踏み出していた。



「お母さーん! 私ちょっと出掛けてくる! すぐに戻るから!」


脱衣所からは母の「えぇっ!?」と驚く声が聞こえたが、そんなの気にしていられない。

棚に置いてある、非常用の懐中電灯ひとつ手に取り、私は家を飛び出した。


そのまま、迷うことなく一直線に、山の頂(いただき)にある神社を目指して、駆け抜ける。

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