きみと秘密を作る夜
つんと澄んだ空気の中、まん丸く浮かんだ月は、あの日と同じ。
息を切らしながら神社に辿り着き、石階段をのぼって境内を通り過ぎて、脇にある【立ち入り禁止】と書かれたロープの前に立った。
ここに立ち入るのはあの日以来で、しかもひとりできたのは初めてだから、何だか思った以上に木々がうっそうと生い茂っているように感じるけれど。
少しひるむ気持ちもあったが、しかしここまできた以上、引き返すわけにはいかないと気合いを入れ直して、私は慎重にまわりを懐中電灯の明かりで照らしながら、ロープを越えた。
風が吹く度に、木々がざわめく。
本当にこっちで合っていたかなと不安になり、時々は恐怖しながらも、それでも私は一歩一歩、奥深くに進んで行く。
道なき道を必死で進み、もうそろそろ限界を迎えそうだと思った時、明かりの先に、あの大木を見つけた。
「ここだ……」
やっとたどり着いた。
息を切らしながら、安堵と疲労で私はその場にしゃがみ込んだ。
そこから改めて見上げた大木は、あまりに大きい。
「……どうしよう」