きみと秘密を作る夜
すごいな。

さすが晴人だな。


と、感心している場合ではない。



「お前、俺が納得するように、全部説明しろよ」

「え? 何を」

「だから、遼と別れてたこととか、今ここにいる理由とか、そのマフラーしてる意味とか、全部だよ」


慌てて首元を見ると、外していなかった、モスグリーンのマフラーが。



「いや、マフラーに関しては、のっぴきならない事情があったっていうか、仕方なかったっていうか、別に晴人がどうとかってわけじゃなくて」

「なら、遼と別れたことも、俺には関係ない話?」


ずいと顔を近付けられ、私は思わず口ごもる。

そのまま、なんとも言えずに目を伏せた私に、晴人はどうしたものかというような顔をした。



「俺は、遼ならいいと思ったんだ。あいつなら里菜子を幸せにしてくれると思ったから、素直に身を引くことにした。けど、遼がさっき、電話で言ったんだ。『リナは最初からずっと、俺じゃないやつが好きだったんだよ』って。なぁ、それってどういう意味?」

「………」

「何でわざわざ流星群を見るためにここまでくるんだよ。お前さっき俺の名前呼んでたよな? 『嘘つき』はどっちだよ。もう全然わかんねぇよ。ちゃんとお前の本心を話せよ」
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