きみと秘密を作る夜
夏休み前に、両親の離婚が決まったようだった。
そして私は、それが当然のように、母に着いて行くことになっていた。
すべては事後報告だった。
「疲れたぁー」
やってもやっても終わりが見えない作業に、感傷に浸る暇もない。
「おばあちゃん。私、麦茶じゃなくて炭酸が飲みたいんだけど」
「あら、ごめんねぇ。おばあちゃん、気が利かなくて」
「いいよ、そんなの。コンビニに売ってるでしょ? 私、買ってくるから、道教えてよ」
「コンビニはちょっと遠いからねぇ。自動販売機なら、酒屋さんの角を曲がったところにあるよ」
「酒屋ってどこ? 歩いてすぐ?」
「歩いたら、20分くらい掛かるかねぇ」
「マジで!? 自販機ってどこにでもあるもんじゃないの!?」
「ここは都会とは違うからねぇ」
祖母の家には何度かきたことがあったから、まったく勝手がわからないわけじゃない。
でも、暮らすとなると、話は別だ。
こんなに暑い中、20分も歩いたら、確実に死んでしまう。
私はがっくりと肩を落とし、喉元まで出掛かった不満と不安を、出された麦茶で流し込んだ。
祖母のことだって嫌いではないけれど、これから先、こんな場所で、私はどうなってしまうのだろうかと思う。
そして私は、それが当然のように、母に着いて行くことになっていた。
すべては事後報告だった。
「疲れたぁー」
やってもやっても終わりが見えない作業に、感傷に浸る暇もない。
「おばあちゃん。私、麦茶じゃなくて炭酸が飲みたいんだけど」
「あら、ごめんねぇ。おばあちゃん、気が利かなくて」
「いいよ、そんなの。コンビニに売ってるでしょ? 私、買ってくるから、道教えてよ」
「コンビニはちょっと遠いからねぇ。自動販売機なら、酒屋さんの角を曲がったところにあるよ」
「酒屋ってどこ? 歩いてすぐ?」
「歩いたら、20分くらい掛かるかねぇ」
「マジで!? 自販機ってどこにでもあるもんじゃないの!?」
「ここは都会とは違うからねぇ」
祖母の家には何度かきたことがあったから、まったく勝手がわからないわけじゃない。
でも、暮らすとなると、話は別だ。
こんなに暑い中、20分も歩いたら、確実に死んでしまう。
私はがっくりと肩を落とし、喉元まで出掛かった不満と不安を、出された麦茶で流し込んだ。
祖母のことだって嫌いではないけれど、これから先、こんな場所で、私はどうなってしまうのだろうかと思う。