きみと秘密を作る夜
笑って言い合いながらも、意識は右手に集中していた。


私より大きくて熱い、晴人の手。

先ほどとは別のドキドキで、なぜだか泣きそうになる。



「ねぇ」

「んー?」

「来年もさ、またふたりで、ここで年越そうよ」

「だな」


約束。

繋いだ手。


晴人がまた笑うから、私も笑った。



未来のことなんてわからない。

だってまだ私たちは中学生で、何ひとつ上手に思い描けないから。


それでも、晴人と繋いだ手を、ずっと離さなければ、きっと私たちは、その先も、ふたりで一緒にいられる気がする。

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