きみと秘密を作る夜
不安
それは、冬休みが明けた、三学期の始業式での出来事だった。
「来年は受験生だからな」と言った担任の先生の言葉に、私はひどい眩暈を覚えてしまう。
帰宅してから、進路指導室でもらってきた学校案内の資料を並べて、私は頭を抱えていた。
転校してきたばかりだから、こっちの高校事情なんてわからないし。
母には「自分で決めたところに進みなさい」と言われたが、そもそもどんな高校があるかすらわからないのに、決めようがないじゃないか。
ああでもない、こうでもない、と考えていた時、窓を打つ音がした。
「なぁ、この問題の解き方なんだけど。って、何してんだ?」
窓を開けた後で、手に資料を持ったままだったことに気付く。
「あぁ、これ? 高校どこにするか決めなきゃと思って、色々もらってきたの。でも全然わかんないんだよねぇ」
「ふうん」
晴人はこちらの窓に飛び移ってきて、床に広げていた資料を見やった。
私は、ひとつひとつ指差していく。
「ここはちょっとレベル高すぎでしょ? こっちはおもしろそうな学校だけど、通学大変そうだし」
「あぁ、まぁ、そうかもな」
「でさ、制服可愛いのはここだけど、そういうので進路決めるのもどうかなって思ったり」