きみと秘密を作る夜
夜、気晴らしのために行ったコンビニで、偶然、晴人に会ってしまった。
真っ暗な夜を照らす月のように、そこに存在しているだけで私を安堵させてくれる人。
「夜遊び帰りぃ?」
「バーカ。タケの家行ってた帰りだよ」
「あ、竹田くん? 確か幼馴染って言ってたよね?」
よく一緒につるんでいる竹田くんは、見ている限りでは、晴人と一番、仲がいいように思う。
「ただの腐れ縁だって言ったろ。たまたま保育園から一緒なだけだよ。田舎じゃそう珍しいことじゃねぇの」
「そうなの? でも、私からしたら羨ましいけどなぁ、そういうの。幼馴染とか、憧れちゃうけど」
「お前には俺がいるだろ」
晴人は当たり前みたいに言って、歩き出した。
相変わらず、どういう意味で言っているのかはわからないけれど。
少し遅れて、私はその背に続く。
「今日もばあちゃんの病院行ってたのか?」
「え? あ、うん」
「ばあちゃん、どうだった?」
「リハビリ、あんまり好きじゃないみたいでさ。でもこのまま動かずにいると、筋力低下して車椅子生活になっちゃうかもしれなくて」
そこまで言って、はっとした。
「ごめん、こんな話して。晴人に聞かせるようなことじゃなかったね」