きみと秘密を作る夜
「あのね、ずっと誰にも秘密にしてたけど、私ほんとは小学校の頃からずっと、ハルくんのこと好きだったの」


また「きゃー!」と叫ぼうとしたゆっこの口を、慌てた沙耶ちゃんが塞ぐ。

すでに消灯時間は過ぎているが、みんなそんなのお構いなしらしい。



「ハルのどこを好きになったの?」

「えっと、ハルくんずっとサッカーしてたでしょ? その姿がすっごいかっこよくて、いつも目で追ってるうちに、気付いたら」


晴人が、サッカーをしていた?

私は初めて聞く話だったが、しかし麻衣ちゃんは思い出したようにさらに顔を赤くする。


当然だけど、小学校から一緒らしい麻衣ちゃんは、私の知らない昔の晴人を知っている。



「私ね、ハルくんとあんまり接点ないし、恥ずかしくて喋ったりもできないから、このまま片思いのままでいいやって思ってたの。だけど、中学卒業して、別々の高校になって会えなくなったら、絶対、後悔すると思って」

「………」

「そうやって考えてたら悶々としちゃって、私こんな気持ちを抱えたままじゃ受験勉強に集中できないかもって」


恋する乙女。

声を震わせながら、でも麻衣ちゃんは精一杯で言う。



「もちろん、今すぐ告白したりする勇気はないけど、残りの中学校生活、後悔しないように頑張りたいって思ってる」
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