きみと秘密を作る夜
麻衣ちゃんの決意表明に、感動したらしいゆっこは、その手を取った。



「私、麻衣のこと応援するから!」


そしてゆっこは、「ね?」と、まわりのみんなの同意を得ようとする。



バカじゃん。

勝手にやってればいい。


今日は歩きすぎて疲れたし、くだらない恋バナにこれ以上は付き合っていられないと、今度こそ自分の布団に戻ろうとした時だった。



ガチャリとドアの開く音がした。



消灯時間を過ぎても寝ていなかった生徒は罰があると聞いていたのでみんな縮み上がったが、しかしそこに現れたのは、先生ではなく男子たち。

ほっとしたのも束の間、そのメンバーを見て、みんなの空気が急に変なものに変わったのがわかった。


竹田くんたち5,6人の中には、今しがたまで話題の的だった、晴人の姿もあったから。



「な、何しにきたのよ」

「9時消灯で寝られるわけないだろ。それで俺ら、部屋抜け出してきたんだ。どこに忍び込もうかと思ってたけど、ここは階段のすぐ横だったから、出入りしやすいと思ってさ」


違うクラスの男子とはいえ、学年に3クラスしかないため、みんなが仲のいい同級生という感じだ。



「バレたらやばいじゃん」

「これだけ大人数で受ける罰なら怖くないだろ」


勝手なことを言う竹田くん。


男子たちは気付いていないようだが、麻衣ちゃんは真っ赤なのを通り越して、何だか顔色が悪くなっていた。

そんな麻衣ちゃんを女子たちはにやついた目で見ていて、どうやってくっつけようかと、早速、くだらない思考を巡らせているようだ。
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