きみと秘密を作る夜
友達?

だから、協力?


私は完全にシラケきっていた。



「バカじゃないの」


思わず苦々しい気持ちが言葉になる。


自分で自分の想いを伝えることすらできないなら、大人しくしてればいいのに。

私から晴人を奪おうとするやつは、それが誰であろうと敵だ。



途端にどす黒い感情に支配さる。



「さよなら」


呟いて、私は手に持つクッキーの袋を、傍にあったゴミ箱に投げ捨てた。


さようなら、麻衣ちゃんの恋心。

そこでゴミと一緒に人知れず消えればいい。



「リナー? 何してんのー?」


呼ばれた声に、弾かれたように顔を向けた。



「次の授業、始まっちゃうよー?」

「うん。何でもないよ。行こう」


笑顔を作り、私はゆっこたちの輪に加わった。


私は悪いことなんてしていない。

だって晴人の隣は私だけのものだから。

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