きみと秘密を作る夜
9月の終わり。
それは本当に突然だった。
「今日の夜、10時頃、内緒で家抜けられる?」
学校帰りに、晴人はそう聞いてきた。
今晩だったら、母は夜勤のため、早寝の祖母とふたりだから、大丈夫だとは思うけど。
「いいけど」
「じゃあ、そういうことで」
何があるの?
と、問う前に、晴人はご機嫌な顔で、家に入って行った。
私はその後ろ姿を見送りながら、首をかしげる。
何があるのかはわからない。
だけど、晴人とふたりでなら、何をやっても楽しめる。
私は、逸る気持ちを押し殺し、じっと夜を待つことにした。