きみと秘密を作る夜
そわそわしながら待って、やっと約束の時間になった。
そろりと足音を立てないように1階に降り、祖母の部屋を確認すると、真っ暗な中から寝息が聞こえてきて、私はほっと胸を撫で下ろした。
急いで、でも静かに靴を履いて、慎重に玄関を出る。
酒屋の角には、いつものように、自転車に乗った晴人がいた。
「晴人!」
「バカ! 静かにしろって!」
「わっ、ごめん」
口元を押さえながら、自転車の後ろに乗る。
この季節の夜風は心地いい。
カーディガンを羽織ってきて正解だったなと私は思った。
「ねぇ、それで? どこ行くの?」
「秘密の場所」
「って、あの、神社の裏の? 何で? 何しに?」
矢継ぎ早に聞く私に、晴人は大きなため息を吐いた。
「お前さ、ニュース観てねぇの?」
「ニュース? 観てない」
「マジか」
何か事件でもあったのだろうか。
少し怖くなった私に、晴人は言った。
「今晩、流星群が見られるんだよ」