きみと秘密を作る夜
「流星群?」

「今日のは30年に一度しか見られないやつなんだ。今晩は曇るって予報だったから諦めてたけど、ほら、月が出てるだろ? もしかしたら、見られるかもしんねぇ」


晴人は頭上を指差した。


確かに真ん丸の月が出ている。

灯りが少ない町だから、星もたくさん輝いていた。



「何か意外。晴人って星好きなんだね」


そう言ってから、ふと思い出した。



「あ、そっか。ネックレスとシュシュ」


私の首元では、今日も星のチャームが揺れている。

あの日から、一度も外したことがないそれ。


今日は晴人と出掛けるので、シュシュもつけてきていた。



「俺、ガキの頃さ、わりと本気で天文学者になりたいと思ってたんだ」

「天文学者? 別に今からでも目指せばいいじゃん」

「いやぁ、無理だろ。テストだけでも毎回しんどいのに、これ以上、勉強できねぇよ」


何それ。

でも、晴人らしくてちょっと笑ってしまった。



「見られるといいね、流星群」

「漠然とだけど、里菜子と一緒なら、見られる気がしてる」


嬉しかった。


晴人の好きなものが聞けて。

そして、それを一緒に見る相手に、私を選んでくれて。

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