きみと秘密を作る夜
「ねぇ、流星群ってさ、厳密には何なの?」

「彗星から放出された流星物質が、細く筋状に伸びたもの? 『ダストトレイル』って呼ばれてる」

「ダスト? ゴミってこと?」

「ゴミなのに、綺麗だと思ってもらえる。何かそういうの、羨ましいじゃん」


晴人は、まるで自分も同じ、ゴミだとでも言いたげだった。

私は晴人の手を、強く握り返す。



「馬糞だって肥料になるから必要としてる人もいるってことだよね」

「まぁ、近いけど、たとえが悪すぎるだろ」


晴人は、呆れながらも笑ってくれた。

私も笑う。


瞬間。



「……あ」


夜空に一筋の何かが見えた。



「今! 見えたよね!? あれ、流星だよね!?」


思わず興奮して顔を向けると、晴人は夜空を見上げたまま、目を見開いていた。


ゴミでもいい。

何でもいい。



「すげぇ……」


一筋、また一筋、星が流れる。

私は夜空ではなく、晴人の瞳に映る光の筋を見ていた。


綺麗で、綺麗で、泣きそうになった。

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