きみと秘密を作る夜
どれくらい、そこにふたりでいただろう。
星が流れなくなってしばらくしてから、私たちは帰ることにした。
晴人が先に木を降りる。
「里菜子。飛べ。受け止めてやっから」
「えー? よく見えないから怖いんだけどー」
「大丈夫だっつーの。お前が思ってるほど高くねぇから」
言われて、私は恐る恐るジャンプした。
ドサッ、という音と共に、晴人に抱かれる。
そのまま反動で、私たちは、その場にひっくり返ってしまった。
「いってぇー」
「葉っぱまみれ」
何だか笑ってしまう。
「やばーい。帰ったらまたシャワー浴びないと」
「つーか、帰ったら部屋行っていい? すっげぇエロいことしない?」
にやにやと言う晴人。
興醒めした私は、体についた葉っぱを払いながら、起き上がった。
「最っ悪。一気に現実に引き戻された感じ。そんなこと言うから、さっきの感動がどっか行っちゃったじゃん」
ふてくされて言う私を気にせず、晴人も同じように体を起こす。
「現実っていえば、来週、また模試あるよな」
「そうだよ。晴人、ちゃんと勉強してんの? 今度こそA判定取れそう?」
「どうかな」
私は晴人に向かって手を伸ばした。
晴人は私の手を掴んで、立ち上がる。
「ねぇ、覚えてるよね? 晴人が私を西高に誘ったんだから、一緒に合格しなきゃダメなんだよ?」
「わかってるよ。大丈夫だから、絶対に」