きみと秘密を作る夜
木曜日だった。
まだ体は痛いままだったけど、私は学校に行くことにした。
それしか晴人と会える手段がないと思ったから。
晴人の部屋のカーテンは、ずっと閉め切られたままだった。
「本当に大丈夫なの? 今週いっぱい、家でゆっくりしてればいいのよ?」
「別に平気だし」
母の顔を見ず、私は荷物を引っ手繰って家を出る。
学校には、私は階段から落ちたことにしているらしい。
左手は不自由だけど、利き手じゃないからどうにかなる。
それよりとにかく早く、晴人に会いたかった。
晴人に助けてくれてありがとうと言いたい。
母の無礼を、大切なネックレスを失くしてしまったことを、謝りたい。
私たちは大丈夫だと、早く再確認したかった。